駆け抜けた少女【完】

人の痛みがわかるからこそ、矢央のように他人が傷つくと自分のことのように落ち込んでしまう。


「でもなー…やっぱり、僕はいつもの元気な矢央ちゃんがいいよ」


藤堂の独り言に近い言葉、原田は友人まで落ち込む姿を見て何とかならないかと考えた。


だが所詮、元々考えることが苦手な原田だ。


直ぐにお手上げ状態になる。



「聞いたか、最近夜な夜な女の霊が出るらしいぞ…」

「ああ、聞いた聞いた。 だが、それくらいで臆するなど男ではないぞ」

「だ、誰が臆するなどっ!」



ん? なんだか門番がうるせぇなぁ…。 女の幽霊だ?


ピクリと耳を傾けて門番の会話を立ち聞きしていた原田は、ニヤリと笑い門番のもとへ行く。



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