駆け抜けた少女【完】

第九話*少女達を繋ぐもの




「雨が降りそう……」


廊下を歩いていた矢央は、灰色の空を見上げてポツリと呟いた。


今日の屯所はやけに静かだ。


昨夜から慌ただしくしていた隊士達も、局長達に連れられ出払ってしまった。



暇だった矢央は早朝から洗濯をして時間を潰し、雨が降り出しそうな天候を気にし取り込んでいる最中だ。



「ん…しょっとっ」


ふぅ…みんなの稽古着を洗うのって大仕事なのね。


額にうっすら浮かぶ汗を手の甲で拭い、今朝の土方達の話を思い出した。


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