駆け抜けた少女【完】

そしてお華には小さな頃から不思議な力があった。

誰にも言ってはない事実、彼女は未来が見える。


その者(物)に触れて見ようと思えば、数年先までの未来が見えるという不思議な力を持っているのを、お華の家族であった祖父だけがそれを知っていた。


「未来なんて知るものじゃありません。 知って得することなんてないんです……」


「そうじゃなぁ。 だが、お華よお主は未来が見えてしまう程の神的な力を授かってしまった。もしかすれば、いつぞやそのことがお主自身を苦しめるものになるやもしれん」


見なければ良いだけでは、いつか何かあった時、ふとした気持ちで見えてしまった未来に自身が苦悩する日が来るだろうと祖父は語る。


「よいか、その力悪に染めてはならぬぞ。 何があろうとも…」


孫娘の将来を心配しての言葉だった。

まるで、祖父もこの先の未来をわかっていたかのような、そんな言葉だった。



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