だから、君に
【7】由紀の真実
【7】由紀の真実

麻生の祖父は、三者面談期間の最終日にやってきた。

最終日を希望する保護者は少なく、麻生の他には二人の生徒とその親に会うことになっている。

ホームルームを終え、生徒たちが散っていくなか、いつものように僕は教室の隅に面談用のスペースを作った。
机を二つ並べ、向かいに椅子を一つ追加する。

麻生たちの成績、進路希望届などをもう一度確認し、一息ついたときにはもう、夕日が教室にも差し込んでいた。

こめかみを親指でぐりりと押さえる。この頃はろくに眠れずにいたせいか、頭痛に悩まされている。


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