だから、君に

自分の周りの人を分類したとして、僕にとって『家族』に当たるのは誰なのだろう。

母の顔を思い出す。年に一度しか会わなくなった彼女は、すっかり老けてしまった。

芹澤さんと離婚して以来、母は誰とも結婚しなかった。あれだけたくさんの男性を「新しいお父さん」と紹介してきたあの人を、何がそうさせたのだろうか。

僕たちは、はたして家族と言えるのだろうか。
僕が守ろうとしているものは、一体何なのだろうか。

本当は既に、答えが出ているのだ。


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