妖魔０３（Ｒ）〜星霜〜
「久遠を捕獲して欲しいんです」

「おやおや、死地に近い出来事が待ってそうですね」

久遠さんといえば、大妖魔とジャンル分けされた方ではないですか。

「久遠は、美咲がいなくなってから少しおかしくなり始めてるんですよ」

笹原さんの母を思う気持ちが爆発してますね。

「街中がどうなろうが関係ないんですが、久遠に派手な行動をされると面倒なんでね」

笹原さんはポケットに忍ばせていた魔草青汁を取り出し飲み始めましたよ。

もしや、新味が発売されたというのでしょうか。

「不思議ですね。笹原さんは私よりも実力があってもおかしくはない方じゃないですか」

「今の私は、躊躇いが生まれてしまう」

彼女にも悩みがあるようですね。

「他人の私に任せてもいいんですか？」

「赤城先生には躊躇いがないですからね」

「随分と買ってもらっているようですね」

「性格はどうであろうと腕には信頼がある。だからこそ、野川からも頼まれたんでしょう？」

「覗き見とは、高等なテクニックを所持してますね」

「私の日課ですから」

「今度、私にもテクニックを教えてもらいたいものですよ」

「久遠を捕獲できれば好きなだけ」

「そんな事を言われると、精を出したくなるじゃないですか」

笹原さんからご教授されれば、より一層高みに登れる事でしょう。

「もし、久遠から美咲の事を聞かれれば真実を話してください」

「はて、妹さんの真実、まだ聞いてませんでしたね」

「イヴァン＝カナシュートの言う事が正確ならば、今は死んでますよ」

「おやおや、家族の中で一番若い彼女が死地に逝ってしまいましたか」

「ええ」

イヴァン君に関わっていた情報は受け取ってはいましたが、結末としては羨ましいですね。
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