不機嫌な彼

ひとつに束ねられた長い黒髪が無造作にベッドに投げ出されて、まるでそのまま倒れ込んだ様に横たわる身体。


スースーと小さな寝息が聞こえて、起きる気配のない様子に半ば呆れる。



…全く。無防備なのも考え物なんだけど?



俺は彼女の目線まで屈んで、ズレた眼鏡をそっと撫でる。



乱れた白衣からは僅かに胸元が覗いて、俺は軽く溜め息を吐いた。




「…この馬鹿」




それと同時に、思いっきり、つねる、頬。



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