女王様御用達。
「誰がテクニシャンだって?」




吐き捨てながら、赤いコートを着る。




「……誰一人として私の相手として満足に勤め上げられないじゃない」




机の上にある革財布から金を抜き取ると、それを彼ら一人の顔にぶつける。




部屋には男達が酔いながら床に倒れている。


全裸、半裸は当たり前のカオスの世界。



緑色の机の上にあったタバコをひったくると、それを付ける。





「アタシの相手は十年早いわ。もう少し腕を磨いて」




部屋を改めてまじまじと見ると、その粗末さにため息が出る。

こうも頭数そろえて、みんなまともにアタシの相手が出来ないなんて。

大口叩いた結果が誰も私について来れないんだから。


アタシはその小さな部屋から出ようとする。

そのうち全裸の男が手を挙げていた事に気づいた。


酒が回っていて全身真っ赤っかだ。




「……もう、1回……」




私はため息ついてそいつを見下げる。




「持ってる棒も玉もしょぼいんだから、せめて満足に穴に入れられるようになってから声をかけてね」




言葉尻の最後に、部屋の扉を蹴る。


階段を下りながら札束を数える。



5人相手にした稼ぎ分にしては少ない。


「最悪」


舌打ちし、それをコートのポケットに入れた。
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