陽炎の向こう




「おお、ここじゃ!」



「…ここ?」



開いた門をくぐると雑草の蔓延る見事な庭が見えた。ふとそこに美しい女房が立っていた。



「お待ちしておりました、幻霧(ゲンム)様、緋月(ヒヅキ)様。もうすぐ清明様がお帰りになるそうですので、お部屋へご案内いたします」



そう言うと優雅に奥へと入って行く。それにしたがい奥の部屋に入る。



女房は次々に茶菓子を持ってきては微笑みながら去っていく。



幻霧と共にのんびりと待っていると、幻霧がピクリと動く。



< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop