イチゴの気持ち ~イチゴ達のラブストーリィ~
空のペットボトルを持って話しながら道路へと向かったときだった。
「見てろ。俺の練習の成果」
そう言って瑛汰がペットボトルを置き、ゴミ箱に向かって蹴ろうとした。
「何ってるの、やめなさいよ。せっかくきれいにしたのに」
風香が口をとがらせながら言っても、瑛汰は聞かずペットボトルをサッカーボールようにキックした。
「見事!シュート」
勇が調子よく言った。
瑛汰も上機嫌で答えた。「だろ?だろ?お前らバスケ部じゃぁ、ここから投げても当たりもしねーよな」
でも、ペットボトルはゴミ箱にあったたものの、中には入らず道路に転がったままだ。
春哉は転がったペットボトルを拾い、自分の分もゴミ箱に入れようとした。
いっぱいになっていたゴミ箱は押し込んだはずみでバランスを崩し、よけいに道路にゴミを散らかしてしまうことになってしまった。
「はぁー、手でやってこれだもんね。かっこわりぃよな、やっぱダメンズ。じゃぁ、俺、行くぜ」
瑛汰はそのまま自転車に乗り行ってしまった。
急いで拾う春哉の後ろ姿は、なんだかさみしそうだった。
私が手伝った時もいつもとは違う小さな声で「わるいな、ホント俺ダメだな」と言った。