陰る世界


ものごころ付く頃から、あたしの家族は、何かおかしいって、解っていた。


水商売や、芸者をしていた母親は、よく客の男と、関係を持ったんだろう。


ネズミ算式に、次々子供が生まれて、末っ子だったあたしの上には、全員父親の違う兄と姉が、4人いた。


ただし、初めから一緒に暮らしていたのは、7歳違いの姉だけ。


あとの兄と姉は、幼い頃に、母親が養子に出したり、離婚した父親のところに、置いてきたりしていた。

おかしな話だ。


好き勝手に、男と寝て、自分勝手に産み、結局は、生活が苦しかったり、夫婦生活の不一致から、あっさり手放してるんだから。


母親は、弱い人間だった。

誰かに依存しなければ、生きていけない。

母親にとって、その依存対象は、男だった。
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