みどりちゃんの初恋
何やってるんだろあたし、と思って唇を離しながら目を開ければ、かちりと。
視線が合ってしまった。
最大限に大きく見開かれた瞳に驚いたあたしは、田川先生に渡されて持っていたペットボトルを彼のお腹の上に投げ捨て、そこから飛ぶように逃げた―――
◇◇◇
初恋に思いを巡らせながら食後の冷たい緑茶を飲む。
何回も何回も、同じ話を繰り返し話してるっていうのに、ちぃはなんだか信じてないみたい。
「……ねえ、なんで信じてくれないの?」
「話からしたらソイツがタクっていう感じがしないんだもの。確かに、タクは北中の剣道部だったわ。だけどね――」
「だって!生徒会室に初めて来たときヒロっち眼鏡とってて……それで、その人にスゴく似てたんだよっ?!」
勝手にキスして逃げてきて、ずっとドキドキドキドキして……。
あの人に謝りたい、よりまた逢いたい。それで今度はお話ししたいなって思ったんだよ?
「だったら、タクが気付いてるんじゃない?寝込み襲われてるんだし」
言葉に詰まったあたしは口を閉じるしかなかった。
だって。あの時しっかりと目が合ったのに。ちゃんとあたしの顔だって見たはずなのに。
生徒会室であたしがヒロっちに気付いた時、ヒロっちはあたしを見て驚かなかった。
『……どうも』って呟いて眼鏡をかけたの。