みどりちゃんの初恋
「ムカつく」
キッと三人が出ていったドアを睨み付けるちぃはそのままあたしを見た。いや、睨み付けた。
「あの女となにやってるわけ?どうして言ってくれないのよ」
「いや……その、えっと……」
「どうせ猫かぶり女にタク奪ってやるみたいなこと言われたんでしょ」
やっぱりね、と納得してるハヤシっちは、はぅあとあくび。
「だ、だって! ちぃに言ったって『ばかじゃないの』って鼻で笑うだけじゃんっ」
むっとむくれたあたしのほっぺをむぎゅっと掴んだちぃは「似てないから」とあたしの口をタコにする。
仕返しとばかりにちぃの口をタコにするあたし。
「ほら、二人とも。可愛い顔が台無しだよ?離して離して」
穏やかな口調でお互いの手を掴んだのはタツキさんで、柔らかく笑ってる。
「ばかじゃないのって言わないとでも思ってたわけ? だいたい、片想い中の二人の女が一人の男をめぐって争うなら分かるけど、みどりはタクと付き合ってるじゃない。なら張り合う必要なんて――」
「あるから、必死なんじゃん」
言ってあたしはぎゅっと両脇に握りこぶしをつくった。
とられちゃうかもしれない。そう思うから、あたしは里美ちゃんと張り合ってるんだもん。