みどりちゃんの初恋
お泊まりは突然に


 ◇◇◇


 独特の浮遊感。そして、柔らかい何かに包まれた。

「……ん」

 重たい瞼を持ち上げ、目を擦りながら起き上がる。 あれ? ここ、あたしの部屋じゃない……?

「ここ……どこ?」

「坂桑の部屋だ」

「ふあぁ。ちぃのへ――きゃあぁぁあっ!!」

 どどどどどうしてヒロっちがいるのーっ?! ちょ、えっ……意味分かんないーっ。

「……うるさい」

 そっか! これは夢だ! ヒロっちのことであーんなに泣いたから、こんな夢見ちゃうんだっ。 夢ってことはほっぺつねっても痛くないんだか――

「いっ!!」

 ――たいっ!! どうしてっ。そういうパターン有な夢なの?ていうか、何そのパターンって!

「……っ」

 え?

「ヒロっち……? 笑ってる……?」

 直後。立っていたヒロっちは、ベッドに体半分預け、あたしを抱きしめた。

 どうしよう。これこそ夢な気がする。

「悪かった」

 ぎゅうっと。胸の奥まで掴むような声に、自然と涙が零れる。

「お前は謝るな」

 でもっ、と言いかけて、あたしの唇はヒロっちに捕まった。

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