みどりちゃんの初恋

 優しい優しいキスになんだか恥ずかしくなってくる。ヒロっちが珍しく優しいのと、ここ、ちぃの部屋だし。

 あたし、きっと耳まで真っ赤。

 恥ずかしいのと苦しいのとで、軽くヒロっちの胸を押す。それと同時に瞑っていた目を開け、見上げれば、なんだか寂しそうな瞳にぶつかった。

「……ヒロっち?」

「………」

 え?

「……嫌か?」

 そっとあたしの頬に触れた手のひらは大きくて温かい。

「何も嫌じゃないよ」

 頬にあるそれに重ねたあたしの手のひらは小さい。重ねたそれを握り締めたヒロっちは安心したような柔らかい笑みを浮かべた。

「……うあ」

 胸の奥がぎゅうっとして、慌てて俯く。やば……あつ。

「笠井? どうした?具合でも悪いか?」

「ちがっ……そうじゃなくて、その……」

 恥ずかしい。だけど、あたしはゆっくりと顔を上げて、小さく笑った。

「……っ」

「っえ? ヒロっち、顔、赤い……?」

「見るなっ……」

 慌てたヒロっちは急いであたしを腕の中に閉じ込める。「……お前が悪い」と付け加えて。

 優しく、優しく。でも、しっかりと抱きしめられた。ごめんなさい、と、ありがとう。それと――

「――大好き……ヒロっち」

 あたしはヒロっちの背中に手を回した。

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