みどりちゃんの初恋

「……ねえ、あのあと総くん何か言ってなかった?」

 ほら、泣きながら総くんにばあっと言っちゃったでしょ? もしかしたら、総くん、ヒロっちに言っちゃったかな、なんて思ったんだけど。

「………」

 ヒロっちはシカト。どっちなんだろ。聞いたのかな……?

「聞いちゃった……?あのね、ヒロっち。そのことなんだけ――」

「カゲの前で泣くな」

「――え?」

 うっ……。ぎゅうっと抱きしめる力が強くなった。

「カゲと二人きりになるな」

 まるで〇〇家家訓みたいなのが耳に低く、そして強く、深く、注がれる。

「……どうしたの?ヒロっ――んっ」

 あたしにはしゃべらせない、とでも言うように、あたしの後頭部を掴み、ヒロっちは唇をぶつけた。

 上唇と下唇の間。なんだかあったかいのが――

「っ?!」

 ――しししし舌?!

「んっ……ふう……ヒロっ……ん」

 な、何が、起きてる……? どうして、こんなに、顔が熱くてぼーっとするんだろ……。

 あ……もう、無理。

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