白いジャージ2 ~先生と青い空~




その時、携帯電話の着信音が鳴った。



さっきダウンロードしたばかりの2人の好きな曲。



「もしもし…」



公衆電話からの電話。



不審に思いながら、恐る恐る声を出すと、先生が心配して私の顔に耳を近づける。





「もしもし?」



携帯電話を持つ左手の握力がなくなっていくのがわかる。




先生が気を利かせて音楽を消してくれたので

時計の秒針の音ばかりが耳に付いた。




3度目の『もしもし』に答えたのは…


旅行に行ってるはずの

お母さんの声。





旅行の好きなお父さんとお母さんは、今日は少し離れた温泉へ旅行に行っているはず。




朝から上機嫌だった2人を思い出す。



今、電話の向こうにいるお母さんは聞いたことのないような声をしていた。




悲しい声。



不安で消えちゃいそうな声。








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