白いジャージ2 ~先生と青い空~
ホッ
昨日はこんな「今日」が来ること、
想像できなかった。
自分が崩れちゃわないように「大丈夫」と言い聞かせてはいたけれど、
心の奥ではだめなんじゃないかって…
少しは思ってしまっていた。
もうお父さんと普通に話すことができないような気がしていた。
検査が始まり、私と先生は病院の周りを散歩した。
空の青さが、私達の心の中のようだった。
「俺・・・昨日な、お父さんが俺のことを一生忘れていても、それでも俺はお父さんの面倒を看ようと思ったんだ。」
先生は、空を見つめたまま静かに話し始めた。
「お父さんが覚えていなくても、俺が覚えてる。お父さんにしてもらったことや、お父さんと過ごした楽しい時間・・・俺の中にしっかりと残ってる。だから、俺を思い出せなくても、俺のお父さんなんだと思った。」
私は、逆光でよく見えない先生の横顔を見つめた。
すごく嬉しい言葉をくれた。
先生の愛は大きい。
「先生・・・ありがとう。」
「自分でもすっげー嬉しくて・・・そう思えたことが・・・さ。」
先生は少し照れ臭そうに髪をかきあげて、鼻先を触った。