*SWEET LESSON*




部屋へと向かうエレベーターの中で、あたしは鏡に向かって落ち込んでいた。


「…おい。嬉しくないのか?

高級ホテルだぞ」


冷めた目であたしを見降ろしてくるのが肌で分かってしまった。



「嬉しいよ…嬉しいけど、大和が予約してるなんて思ってなくって…」


学生にこんな大金を使わせてしまう羽目になったんだもん。


大人として本当に情けなかった。


だけど、彼は今度はため息付きで


「こんな高級ホテルが予約なしで泊まれると思ってんのか?」



って、小馬鹿にしてくる!!


「だってぇぇ…」


何だか情けなさ過ぎて涙腺が緩くなってしまったッ


今にも泣き出しそうなあたし。


「…んとに、バカだな」


チュッ



大和は、あたしの瞼にキスを落とした。



「!!!!!////」


な…なにを…ッ!?


「お、涙止まった?」


「な……あんた…一体何を…!!!?」



…あたしが動揺するのも無理は無くて。


このエレベーターの中にはあたし達以外に 部屋まで案内してくれるホテルマンが居たのだ。


ほらっ!!気まずそうにしてるじゃんかッ!!



それでも大和はひょうひょうと、今度はあたしの唇にキスをしようと近づいてくる!!





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