*SWEET LESSON*




大和に言われたとおり、無駄に右左折させてみたり、曲がる道を一本向こうにしてみたりで

駅から車で5分もあれば着くはずの家なのに、その倍の時間は経過してしまった。



途中で「曲がる所多いのな」とかボソッと言っていたけど


それ以上何か突っ込まれる事はなかった。



この車ナビなくてよかったよ。



無事に家の前に着いた車。あたしが降りようとした時、それを柳瀬さんは制した。


何事かと思えば自分が先に降りて 後部座席のドアを開けてくれるではないか!!



なんだか、執事みたい…なんて馬鹿な考えが頭をよぎった。



好意に甘え、素直に外に出る。


すると、目の前の金髪はものすっごく嬉しそうな顔をして。



「こ…これって…恋人同士みたいだなッ」



なんて照れたご様子。




「……馬鹿?」



「なんだよ~!照れんなって!!」


や。照れてないし、どっちかと言えば召使を想像してたし…



「……。じゃぁあたし、帰ります」




門に手をかけた時



「あのさ…!」



と声をかけられる。振り向くと、先ほどとは違う 真面目そうな顔をした柳瀬さんが立っていた。




「俺、本当にお前の事本気で好きだから…。お前も考えといて」



じゃ!


と。言いたいことを言いつくしたらしいあの馬鹿…もとい柳瀬さんは逃げる様に車に乗り込み、


そのまま去って行ってしまった。





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