真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ま…茉莉は? だってマサ君は茉莉が好きなんでしょ! なんで?」

あたしは立ちあがって、マサ君を睨んだ

マサ君は手鏡を持ったまま、あたしを見ると、笑顔で鏡をあたしに向けた

「俺より、葉南さんのほうが凄いよね」

あたしは鏡にうつる自分の首を見た

え? ええ?

首には無数の痣があった

ゆっくりと片岡君のほうに振り替えると、片岡君の視線が窓のほうへと動いた

「片岡君! これじゃ、恥ずかしくて…」

「まあ、いいんじゃないの」

マサ君が楽しそうに笑った

「それよりマサ君のこれは、ナニ!」

あたしはマサ君の首を指でさした

「茉莉に会ったよ」

マサ君の言葉に、あたしは目を丸くした

「え? 捜してくれたの?」

マサ君が首を横に振る

「塾の前を通ったら、茉莉がバイトしてたから。腕の傷、手当てしてもらった」

「良かったな」

片岡君が、納得した顔で頷いた

「まあね。茉莉が無事に生きてるって、とりあえず葉南さんに報告しておこうと思ってさ。じゃ、俺はバイトに行くから」

マサ君はひらひらと手を振ると、部屋を出ていった

< 270 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop