真面目なあたしは悪MANに恋をする
「マサ、どうした? ずいぶんと嬉しそうな顔をしてるけど」

片岡君が、マサ君の顔を見て口を開く

あたしはマサ君の腕から、視線をあげる

黒のベストに、シルバーのネックレスを首からさげているマサ君は、にこにこと笑っている

「良いことがあったからね。学校をさぼったお二人さんには、便利屋の店番を頼もうと思ってね。俺、これからショップのバイトがあるから、よろしくねえ」

「相変わらず忙しそうにバイトを入れてるんだな」

片岡君が立ち上がると、背伸びをする

「まあね。朝はコンビニ、昼間はショップ…一人暮らしは、金がかかるから」

「戻るか? 部屋、空いてるよ」

片岡君が、マサ君がいた部屋の方向に指をさした

「戻らないよ」

マサ君が首を横に振った

あたしはなんとなくマサ君の首元に目をやった

「あ…」

キスマーク

マサ君の顔を見ると、またあたしは顔を真っ赤にした

「ん? 何?」

マサ君が首をかしげて、あたしの顔を見てきた

「か…か、彼女でもできたの?」

あたしは首を指でさしながら、質問をした

マサ君は、片岡君の部屋にある手鏡で首筋を見た

「ああ…これ」

マサ君は、別に驚く様子もなくキスマークを見つめた
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