真面目なあたしは悪MANに恋をする
「何度来ても、話を聞く気はないわ」

「それでも僕は毎日ここに立ってます」

仕事を終えて、学校から出てきた鈴木先生の後ろを追いかけながら僕は口を開いた

「葉南にはバイトを辞めてもらったわ。もう会うこともないでしょう。諦めて頂戴」

足早に歩く鈴木先生は、冷たい口調で僕に言ってくる

昨日よりは進歩だね

いつもなら、無言で僕の前を通り過ぎていたから

3週間も追いかけられたら、いい加減、嫌になるかな?

そのうち、僕は警察に通報されるようになるのだろうか?

「諦められたらどんなにいいんでしょうね。僕は葉南さんがいいんです」

「他にいるでしょ? 片岡君に似合う女の子なんて。どうしてうちの葉南なの?」

「葉南さんだからです。それ以外に理由はありません」

「もうここには来ないで頂戴。迷惑なの」

「すみません。わかってもらえる術が、これしか思いつかなくて。家の前だと、葉南さんに見られてしまうから」

鈴木先生がくすっと笑った

「葉南には見られたくないって?」

「はい。葉南さんに会ったら、葉南さんの気持ちが揺らいでしまうでしょ?」

「てっきり格好悪いところを見られたくないのかと思ったわ」

「それもありますけどね」

僕は苦笑する

葉南さんには最低、1か月は会わないと決めたから

葉南さんにとって大切なものは何なのか

親を裏切ってまで、僕を選ぶ理由があるのか

それを見つけてもらいたい

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