真面目なあたしは悪MANに恋をする
え? それだけ?

片岡君はあたしに背を向けると、パソコンをいじり始めた

あれ? なんか対策を教えてくれるとか…じゃないの?

なんか肩すかしな気分なんですけど

まあ、でも…助けてくれって縋りついたわけじゃないし、迷惑はかけられないって思ってるのは確かだけど

あそこまで聞かれたら、ちょっと何かアクションがあるのかなって期待しちゃわない?

それってあたしだけなのかな?

自分で…どうにかしないとだよね

自分のことだもんね

他人に甘えてちゃダメだよね?

脅されたからって、付き合いたくないものは付き合いたくないもの

脅されて付き合ったって、何の価値も生まれない付き合いだよね

本当に、あたしって男の見る目がないなあ

寺島君に惚れなければ、こんなことにならなかったはず

茉莉への信頼だって、失わなかった

茉莉と仲良しのままでいられたのに、なあ

合コンだってしなかった

バイトだって、いつものように楽しい時間で終わってたのに

「はあ…」

あたしはまたため息を零した

テーブルを布巾で拭くと、よろよろとホールの流しに向かって歩き出す
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