真面目なあたしは悪MANに恋をする
すたすたと背後から近づいてくる足音が聞こえてきた

片岡君の食材の注文が終わったのかな


あたしの後ろに立った片岡君が、ポンポンと優しく頭を叩いてきた

え?

あたしが振り返ると、片岡君の視線はあたしにはなくて、キッチンにいる寺島君に向いていた

「寺島君、1月のシフトを冷蔵庫に貼りだしてありますので、確認してから帰ってください。今日みたいなことがあると、困るので」

「あれ、俺まだ、無理な日とか言ってないけど」

「来月の予定は15日までに出すように言ってありますよね? その日までに出ていないのなら、ダメな日はないとして処理します」

「マジで? 正月とかマジ、無理なんですけど。サッカーの練習とかあるし、試合だって…1月ってちょー忙しいんすけど」

そういえばプロになりたくて、頑張ってるって言ってたなあ

夢に頑張ってるってすごいって思ったんだよね

今はもう、感動とかないけど、さ

『ふう』って片岡君が溜息をつくのがわかった

「それはいつですか? バイトのシフトを変更しますから」

「毎週土日と、あと…はぁ、平気かも」

寺島君はシフトを見ながら、帽子で潰れた髪を直していた
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