真面目なあたしは悪MANに恋をする
「わかりました。土日のシフトは変更しておきます」

片岡君が、すっとあたしの手を触れてきた

え?

大澤さんも気づいていないみたい

握るってほどじゃないけど、小指を軽く絡ませてから指が離れた

「平日はきちんと来てくださいよ」

「わーってるって」

寺島君がひらひらと手を振る

片岡君は『ふぅ』と鼻から息を噴射すると、またパソコンのほうに向かっていった

あたしは片岡君の指を絡んだ小指に視線を落とした

触れただけじゃない

指切りみたいに、小指と小指から絡み合ってたよね?

「どうしたの?」

大澤さんが、不思議な顔をしてあたしに話しかけてきた

「あ…ううん、何でもない」

あたしは笑顔を作ると、ホールの片づけを再開した

片岡君の考えてることが、あたしにはわからないよ
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