一番星
「大丈夫か?」

翔が私に聞いているみたい。

何で私に聞くんだろ．．．

そう思ったとき手に水みたいなものが落ちてきた。


「泣いてたんだ私．．．」

そう呟いたとき先生が拓也と翔に大声で『試合に戻れ』って言ったの。

私はこの時すごく不安で人の何気ない言葉に過剰に反応してしまって。

先生が後ろを向いたと同時に手を振り上げた。

でも満に止められた。


「あんたのしなきゃいけないことはこんな事じゃないでしょ!?」

満に怒鳴られて私は『聖ちゃんの所に行かなくちゃ』って思った。


保健室の方に体を向けたとき

『泉!
　あんた聖弥と秋吉どっちが好きか分かったでしょ?』

そう言って手をつかまれた。


そうだ．．．

大事な事忘れてたね。

このままじゃ聖ちゃんに会う資格ないもんね。


「うん!
　どっちが好きかちゃんと分かった。
　私はっきりさせてくるっ」

そう言ってわたしは逆の方に走り出した。


「一応あいつはあたしが見てるよ。」

満の言葉には振り返らず私は手を挙げて走りつづけた。
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表紙・目次

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