【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
四、
国境を越えて馬を駆る気配を得て、この林に身を伏せていたのだが、どうやら、思わぬ上物と遭遇したらしい。

吉法師。

このところ、和積の城で囁かれているその名を、玉林自身も、聞き知っていた。

尾張の大うつけと呼ばれる可舞奇者。
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