狼谷の のん
のんはね、狼なんだ。
でもね、 人間に成りたかったんだ。
彼女が、少女の頃、いつもと違う森に
出かけたときに 人間の子供と出会い、
育てたんだ。
その人間の子供はね、少年に成る頃、
森を去ったんだ。
狼の言葉で、さよならを 言ってね。

のんも、もう人間でいえば 50歳くらいかな、、
でもね、狼とは結婚しなかったんだ。
少年と会いたかったんだ。
狼の歳は 人間よりちょっと速いんだ。
今なら、少年と会って 恋も出来る。
いや、少年の大人になった姿を
もう一度 確かめたかったんだ。

狼谷には、伝説があったんだ。
大悪人の肉を3人喰らえば
狼人間に 変身出来るって。

のんは、もうすでに 二人 大悪人の肉を 喰らう事が出来たんだ。
あと一人、、、、

でもね、狼人間に変身するためには、条件があったんだ。
 ”誰からも 恨まれて、
   哀しむ人が 一人でもいたら 
   無効。。。。”
この条件をクリアした二人を 探すのは容易ではなかった。
人間になりたい思いをつのらせて もう二年が過ぎた。

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