恋口の切りかた
「それは──この与一のあずかり知らぬことだね」

「成る程。あんたや白蚕糸の所には、一味の連中から何も接触はねーんだな」

「ああ。白輝血との一件で、完全に鵺が手を貸さないと連中も理解してるんだろうさ。
それでも、連中がこの城下でそれらしい仕事を一つでもやってりゃあ、気づくはずなんだがね。

今のとこ、そんな話は入ってきてない」

「連中が拠点にしそうな場所に心当たりは?」

「盗賊宿かえ? それらしい者がどこかに出入りしてるって話は聞いていない。本当にこの町に闇鴉の一味が潜んでいるのかい?」

それは……妙だな。

町を裏で取り仕切る鵺の耳にも情報が入ってきていないとは。

「聞きたいことってのはそれだけかえ? まあ、こっちでも注意しておくことにするよ」

与一はそう言って、

「いや、もう一つ聞きたいことがある」

俺は気になっていた質問を口にした。

「連中が殺し屋と平気でつるむなら……他にも心当たりはねェか?

鎖鎌の兵衛はどうやら、行逢神の平八一派と手を組んでやがった。
あんたが賊時代に一緒に仕事をした者でも何でも……今の闇鴉の一味が好んで手を組みそうな殺し屋はいるか?

連中が今手を結んでいるのが、兵衛一人とは限らねえ」

「ああ。言えてるね、そいつは」

与一は腕を組んで、しばらく宙に視線を走らせた後、殺しを生業にしている闇の世界の住人だという者どもの名を挙げた。

俺にはどれも初めて聞く名ばかりだったが──

「国崩しの断蔵?」

その中で、少し気になる名前があって聞き返した。
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