恋口の切りかた
降りしきる雪が髪と着物を濡らす中、円士郎の温もりを感じながら私は震えた。

「いいよ」

「……え?」

「エンが他の女の人と一緒にいても、いいよ」

私の口からはそんな言葉が出てきて、

「こうしてそばにいられるだけで、私は幸せだもん」


嫌なのに。

私のそばにだけいてほしいのに。


「あの女の人、殺し屋だったんでしょ? 確かめるためだったんだよね……」


川に向かって石を投げ込んだ時の本音は、頭から血を流している円士郎を前にしたらどこかに行ってしまった。


私、こんないい子じゃない。

そう思ったけれど、


「ごめんなさい、ごめんなさい、エン」


泣きながら謝って、


「私、あんなに綺麗じゃないし、こんな格好してるし……エンが好きだって言ってくれるだけで、いいよ……」


私は震えながら、円士郎の腕の中で彼を見上げた。

円士郎はぼう然とした目を私に向けて、それから怖い顔になった。


「嘘つくなよ」

温かい手が、私のほっぺたを流れ落ちていく水を拭って、


優しく唇が重なって、


「お前は俺のこと、もっと罵って、非難していいんだよ!」


円士郎は泣きそうな顔で言った。


「お前は綺麗だし可愛い」


円士郎が何度も私の唇を吸って、


「嫌だったろ。こんなに泣くほど嫌だったんだろ?
留玖……ごめんな。本当に悪かった……」


私の頭を強く彼の胸に押し当てて謝ってくれて、

凍えていた私の体はようやく温もりを取り戻せた。
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