恋口の切りかた
【円】
突然、留玖が斬りつけてきて、
俺は驚愕しながら、腰の長刀を抜刀してその剣を受けた。
「私を『留玖様』なんて呼ばないで……!」
俺に振り下ろされた刀は、峰打ちの向きに返されていた。
「桜のように、なんて言わないで……!」
泣きながら俺と刀を合わせている少女を、俺はぼう然と見つめた。
「死なないでよ……!」
霧雨のようになった雨の中で、
留玖は大きな目からぽろぽろと涙をこぼしてそう言った。
「生きていてよ、エン──」