恋口の切りかた
この世の何より愛しい存在に、

そう懇願されて、


固めていた決意を、根こそぎ奪われるような気がした。



「私……そんな風にエンのことを思い出したりなんてできない」



留玖は、細い肩を震わせながら、刃の向こうで俺を見上げた。





「エンが死んだらきっと、

桜の花が……この世で一番嫌いな花になるよ……!」





留玖──。






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