恋口の切りかた
「まったく、テメェはまだ傷が癒えきってねえ身でこんな場所に現れやがって──」

俺は宗助に苦笑を向けて、

「お前のおかげで、助かったぜ。礼を言う」

と告げた。


「は」

宗助が短い返事を寄越して、深々と頭を垂れた。


「おひさちゃん……」


俺の腕の中で留玖が、か細い声を出した。


「どのみち、御三家の御嫡男の暗殺をもくろんだ彼女には、捕まっても拷問で苦しみ抜いた末の死が待っているだけ。

……このほうが良かったでしょう」


宗助はおひさを見下ろして、無感情に、淡々と、そう口にした。

相変わらず何を考えているのか読みとれない能面の顔だった。


「そう……」

悲しそうに呟く少女に、俺は向き直った。
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