恋口の切りかた
【剣】
「これからは、一緒に幸せになろう」
そう言ってくれた大切な人に、
「はい、殿」
と、頷いて、
私は与えられるだけの日々に別れを告げた。
体の芯が溶けてしまうような、甘くて優しい深い口づけに、
私は円士郎の腕の中で全身の力が抜けていくのを感じて、
気がついたら敷布の上に押し倒されていて、
円士郎の体の温もりと重みを感じていた。
「今日は『全部』してやるよ」
薄ぼんやりした闇の中、
私の上で、円士郎はいたずらっぽくて熱っぽい声で囁いて、
円士郎の手がしゅるしゅると私の帯を解いて、
彼の手が肌に触れて、心臓と一緒に私の体はびくんっと跳ねて、
「ぜ……全部って……何するの……?」
私は恥ずかしくて、ぎゅっと目を瞑ったまま、
ずっと頭の中にあった大きな疑問を口にした。