恋口の切りかた
私は、何が起きているのかわからず、
でも子供心にもただ事ではない気がして、固唾(かたず)をのんで堀口青年を見つめた。



「おのれ……腕に覚えはあったつもりだったが、伊羽青文があのような達人であるなど、私は聞かされてはいなかったぞ……!」



堀口は、歯がみするようにそうもらした。



「な──」

りつ様が絶句した。



イバ……セイブン?

イバ、伊羽、伊羽、どこかで聞いた名前だった。



「伊羽様と言えば──新しい城代家老様の──!」

りつ様は息をのんで。

「ぬし様は、御家老様を夜討ちにしたと!?」


──あ。

私は思い出した。
父上が呼ばれて今訪ねて行っている相手が、まさにこの伊羽様という人だった。
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