恋口の切りかた
漣太郎の言葉を聞いて、堀口はけたけたと甲高(かんだか)い笑い声を上げた。
ぎょっとする私や、目つきをするどくする漣太郎に
「心配なさらずともご当主様は、黒幕などではない」
泣き笑いのような顔で、堀口は告げた。
「晴蔵殿は、下手人として私を使うのが良いだろうと、さるお方に推挙しただけだ。
もっとも、私はその期待にもそえずじまいになってしまったが。
御家老に問いつめられたとしても、単に腕の立つ者を聞かれて私の名を出したまでと言えば良いのだ!
何の咎(とが)にも問われまい」
そう語る彼の瞳には、灯火に照らされて
追いつめられた者の危うい光がゆらゆらと揺れている。
「おわかりか? 御家老に呼ばれて伊羽家に行った時点で、結城様にとっては私をかばい立てしても百害あって一利なしということだ!」
堀口がそうさけぶのを聞いて、私はうかつに父上の行き先を伝えた判断が大きなあやまちだったと後悔したけれど、今さら遅かった。
あの場にいたのが私でなく漣太郎だったら──きっと、このことは黙っていたんだろうな。
「ああ──私は、良くて切腹……いやどう転んでも、拷問(ごうもん)のすえに打ち首か……。
……死にたくない! たのむ、晴蔵殿に、助けてくださるよう、どうか!」
恐慌状態に近い声でわめいて、若者は手にした懐刀に力をこめる。
りつ様が顔をゆがめた。
白い肌が切れて、首すじから赤い水が、つうっと一すじ流れた。
ぎょっとする私や、目つきをするどくする漣太郎に
「心配なさらずともご当主様は、黒幕などではない」
泣き笑いのような顔で、堀口は告げた。
「晴蔵殿は、下手人として私を使うのが良いだろうと、さるお方に推挙しただけだ。
もっとも、私はその期待にもそえずじまいになってしまったが。
御家老に問いつめられたとしても、単に腕の立つ者を聞かれて私の名を出したまでと言えば良いのだ!
何の咎(とが)にも問われまい」
そう語る彼の瞳には、灯火に照らされて
追いつめられた者の危うい光がゆらゆらと揺れている。
「おわかりか? 御家老に呼ばれて伊羽家に行った時点で、結城様にとっては私をかばい立てしても百害あって一利なしということだ!」
堀口がそうさけぶのを聞いて、私はうかつに父上の行き先を伝えた判断が大きなあやまちだったと後悔したけれど、今さら遅かった。
あの場にいたのが私でなく漣太郎だったら──きっと、このことは黙っていたんだろうな。
「ああ──私は、良くて切腹……いやどう転んでも、拷問(ごうもん)のすえに打ち首か……。
……死にたくない! たのむ、晴蔵殿に、助けてくださるよう、どうか!」
恐慌状態に近い声でわめいて、若者は手にした懐刀に力をこめる。
りつ様が顔をゆがめた。
白い肌が切れて、首すじから赤い水が、つうっと一すじ流れた。