恋口の切りかた
【漣】
「サクラの花!」
嬉しそうに言って、
トウ丸は「蓮」の横に、「櫻」という文字を書いた。
もちろんどちらの漢字も寺子屋ではまだ習っていない。
……こいつって、もしかして頭もいいのか?
「桜か、お前よく見てるもんな」
ここ数日、復讐に燃える俺が声をかける時、いつもこいつはぼーっと桜を見上げていた。
「確かに、桜はいいよな。
うん、武士の生き様だ」
勢いよく花びらを降らせる神社の木々には、そろそろ緑色の若葉が見え始めている。