恋口の切りかた
「なあ、お前、オレんちの道場に来いよ」


何度か、俺は刀丸を稽古に誘った。


「親父もお前の腕見たがってるしよ、他のやつらにも見せてやりてえよ。

鏡神流っつって、この辺りじゃいろんなやつらが稽古に来てるんだぜ?」


「でも、おれは家の手伝いがあるから……」


いつもそんな風に、刀丸には断られてしまったが。


「おれの家、七人も兄弟がいるから、おれも小さい弟や妹の面倒見ないと……」

「すげえな。オレなんか、弟が二人いるだけだぞ?」

「へへっ。これだけたくさん子供がいても、なんとか売らずに生きていけるのは、偉い領主様のおかげだ、感謝しろって、お父もお母もよく言ってる」


「売るって……何をだ?」



「子供を」



刀丸のその話は、
ぬくぬくと育ってきた俺にとっては、かなり衝撃的だった。
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