恋口の切りかた
風佳は前に、

許嫁と、誰を好きになるかは別だと言っていたけれど──


でも、やっぱり

そんなに簡単に割り切れるものじゃない……よね……。



町の中を歩いていたら、
キャー、という黄色い歓声が聞こえて

そちらを見ると、通りの向こうで円士郎が
私の知らない町の女の子たちに囲まれて楽しそうに笑っていた。


「エン……」


私は思わずその場に立ちつくしてしまって──

ちょうどこちらを向いた円士郎と目が合った。



円士郎は一瞬、気まずそうな顔を見せて、

それから女の子たちを置いてこちらに歩いてきた。


「留玖?」

足下に視線を落として黙っている私を見て、円士郎は戸惑い気味に私の名を呼んだ。


「……いいの?」

「何がだ?」

「あの人たち」

私が、通りの向こうで手を振っている女の子たちをちらりと見ると、
円士郎は「ああ」と何気ない感じで頷いて、女の子たちに軽く手を挙げて、「いいんだ」
と言った。


「……そうなんだ」

「留玖?」


円士郎は私の顔を覗き込んだ。


「なに怒ってんだ?」
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