好きな人は暴走族
「お前ら……女の子に手をあげるなんて最低だな」

龍騎はさっきとは全然違う低い声で言った。

「お・お前は!!!」

「このやろ!!」

近くに居た男が龍騎に飛びかかってきた。

「りゅ・龍騎!!
危ない!!」

あたしは目を瞑った。

「……紗枝?」

誰かに名前を呼ばれた。
この声って……

「龍騎!?」

「わ!ビックリした……」

「だ・大丈夫だった?」

「……あぁ。
大丈夫」

龍騎はそう言ってニコッと笑った。

「よかったぁ。
ごめんね。あたしのせいで」

あたしは下を向いた。

「大丈夫だって。
気にしないで。俺が勝手にしたことだから」

「……うん」

「そんな顔しないの」

「くそっ……このやろう」

「え!龍騎危ない!?」
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