君があたしにくれたもの
高校生2日目。今日こそ友達作らなくてはならない。
重い足取りで教室へ向かった。学校へ着くまでは、地元の友達と居るから楽しい。だけど、教室に入ってしまえば話は別。一人ぼっち。きっと、そんな言葉が似合うだろう。
教室のドアを開けると、まだ誰もいなかった。とぼとぼと自分の机に歩いていく。
「はぁ」
と、ため息をついた時だった。
「あのっ!!」
突然後ろから男の子の声がして、彩夏は恐る恐る振り返った。
そこには坊主頭の男の子がいた。
「…」
誰??この人。ていうか、怖いんやけど…。
「あのっ、これ」
そう言うと、彼は近づいてきた。
彩夏は怖くなって少し後退りした。
そんな彩夏に差し出されたのは、ハンカチだった。
「え…」
彩夏はそれをじっと見つめる。
「去年の夏、甲子園でこれ、貸してもろたんやけど…。覚えてない??矢野空広」
「あ…!」
あの時の! 彩夏は驚いて、ハンカチと彼を交互に見た。
「ひさ…しぶり…」
そう言って、はにかんだ笑顔はあの時と全然変わってなかった。
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