君があたしにくれたもの
「かっとばせー!はーらーだ!」
試合が始まると、観客席はさらに暑くなった。
隣でキャーキャー騒いでいるのは彩夏を球場に連れてきた従姉妹の林菜穂子。
彩夏と同い年で、彩夏にとって一番仲のいい従姉妹だ。
そんな彼女の視線の先には、一人の男の子がいた。


原田悠馬くん。彩夏達の2個上で、高校二年生。
そして、菜穂子の彼氏。
もう2年以上付き合ってる。

「やっぱ悠馬がいっちゃんかっこいいっっ!」
菜穂子は嬉しそうに、バッターボックスに立つ悠馬を見つめた。
その目はキラキラ輝いていて、すごく幸せそう。
そんな菜穂子を見ると、彩夏はいつも羨ましくなる。
あたしも恋したいなあ。
彩夏は遠くの空を見つめた。































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