【短】涙が出るほど好きだった
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「やばっ!もうこんな時間!?」
教室で宿題をしていたらいつのまにか寝てしまっていたあたし。
急いでバックに荷物を詰める。
「……~でしょ!?」
「………~じゃないだろ!?」
隣のクラスから聞こえる話し声に不意に耳をすます。
聞いているうちに誰が話しているかきになって、そおっと顔をのぞかせた。
―……奏くんっ!?
そこにいたのは紛れもなくあたしの好きな人、
佐藤 奏くん。
そして奏くんと話していた相手は…
加藤 香織さん。
奏くんの幼なじみで……奏くんの…好きな人。
奏くんが香織さんのことを好きだなんて
あたしじゃなくても知ってるくらい勇名な話。
いつもは回転の悪いはずのあたしの頭は
こんなときだけただちに”告白”と判断する。
「…でも俺は香織が好きなんだ!」
ズキンと痛む心臓を押さえながらも
会話を聞き続ける。
「……ごめん。あたし、彼氏いるし…奏とはずっと仲良くしてたいと思ってる。だから、付き合うとかは考えられない…。」
香織さんに彼氏がいるってことも学校中の誰もが知っている。