あしたも来年も



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全然懐かねえだけに、三浦が俺にニコリ程度でも愛想笑いしたのなんか、社長が連れてきて挨拶したあの一回ぐらいなもんだ

ま、あのあと俺が指導とカコつけて荒く使い回したせいで嫌われたってのもあるけどな

なんせ、俺以外のヤツには薄ら寒くなるほど愛想はいいんだ
俺から見りゃ、小馬鹿にしてるとしか思えねぇ(実際そうだろうが)上っ面だけどな



なもんで。この一年仕事じゃ付きっきりだったにもかかわらず、プライベートなんかチラリとも見せようとしない三浦を仕事帰りに見かけて、女相手に得意の嘘くせぇ笑顔でタクシー乗り場まで送ってやってる好青年っぷりを見た時にゃ


「似てる別人かと思ったぜ」

「!!っなんでアンタが…!」

ちょうどタクシーが走り去ったあとの、ヤツの背後で思わず出た独り言に、三浦が驚いて振り向いた
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