おしおき
申し訳なさそうに覗き込む初香に、トコちゃんはニッコリ笑いながら振り返る。

「大丈夫だよ?初ちゃんの隣になった時点で、これくらいの事は予測済みだから」

そういいながら飛び散った生クリームを拭き取り、トコちゃんは再び泡立て器を動かす。


う゛う、
ちょっと酷い・・・。


ニコニコ笑顔の柔らかいトコちゃんに言われると、当たっているだけに余計にショックを受ける。

百合のようにクールな表情で言われた方が、まだマシだ。

百合は芸能人かと思うほど容姿端麗で、初香から見てもうっとりする容姿である。

そんな綺麗な顔から吐かれる毒は、綺麗な顔からは想像できないほどキツイ。


綺麗な薔薇には刺がある・・・といった感じだろうか。


しかし、それにしても。


「トコちゃん上手・・・すごいね・・・」

規則正しい腕の動きに惚れ惚れしながら、初香がポソッと呟いた。

「そんな事ないよ。こんなの普通だから」

「普通・・・そっか、やっぱ普通だよね・・・」



それが出来ない私ってどうなの!?
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