虹色に変わる恋
母親は菜月を抱き締めてそう言った


「お母さん…ありがとう…ごめんね…」


「藤村さんの言葉で目が覚めました。菜月をよろしくお願いします」


母親は俺にそう言って菜月の頭を撫でている


「菜月…今までごめんね…こんなに大きくなって…何年振りかしら…頭撫でるの…」


俺はその時、母親の目に浮かぶモノを見た


「じゃ、僕は仕事があるので失礼します…お母さん、今日はいきなりで申し訳ありませんでした。菜月さんのことは本気ですので、よろしくお願いします」


俺は母親と菜月を二人にさせようと思い、菜月の家を出た


太陽は沈み、藍色の空も闇に包まれようとしている


見上げると丸い月が出ていた


白い月…




吸い込まれそうだよ






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