雨に恋した華
「そろそろ送るよ」


そう言った虹希さんに頷いて、荷物を片付けて立ち上がった。


その瞬間、肝心な事を思い出して、バッグの中から袋を取り出した。


「あの、虹希さん……」


「ん?」


部屋を出ようとしていた虹希さんは、笑顔で振り返った。


「どうかした?」


「これ、今日のお礼です……」


小さなラッピング袋を差し出すと、虹希さんが不思議そうな顔を見せて首を傾げた。


あたしは、袋の中身がクッキーだと言う事を告げた。


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