雨に恋した華
虹ちゃんを追い掛けて、必死に言い訳をすればいい。


縋り付いてでも、彼を引き止めて謝ればいい。


思考回路が停止寸前の頭でも、とりあえずそれくらいの事はわかっているのに…


硬直したままの体が、そうする事を許してはくれなかった。


小さくなっていく虹ちゃんの背中を、ただ呆然と見つめる事しか出来ない。


心がズキズキと痛む。


『浮気するような女』


虹ちゃんにそんな風に見られてしまった事に、辛さや苦しさなんかよりも悲しみを感じた。


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