フレンチトースト
「泰夢…。」
スキ…
そう言いかけて
喉の奥にしまいこむ。
「んー?」
前を歩いていた泰夢が
振り返る。
「なんでもない。」
そういうと
「なんやねんな。」
あたしの頬を思いっきりつねった。
「痛いやろ、アホ!」
一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
泰夢はすごくつらそうな顔をした。
「アホは、お前じゃ。」
なんで、そんな顔するん?
そう聞きたかったけど、
「…はよ帰ろ!」
笑って泰夢が言ったから
「…うん。」
としかいえなかった。